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2021.01.30役者と日本舞踊

役者は一生勉強!⑥やっと日本舞踊を始めた役者さんが勘違いしてしまう事「舞踊家になるつもりではなく所作を学びたい!」


芸歴32年を迎え、紆余曲折しながら舞台役者を続け、そして日本舞踊指導と振付や所作指導の仕事をしている麻倉ゆうきが、今まで学んだ事や日々感じている事をお伝えしていきます。
人生をかけて取り組んでいる「芸の世界」を皆さんと共に歩んで行きたいと思います。









私は、「日本舞踊は役者の必須科目!」と言い続けています。
踊る役ではなかったとしても、時代劇に関わる、着物を着る役をやる、そうじゃなくても立ち位置や空間処理能力、立ち姿の美しさなどすべての方にいい影響を与えると思っているからです。

「そうなのかなぁ~」って実感がわかない方もたくさんいらっしゃいますよね?
それもわかります。

ではどうでしょう?

極端な例にします!
日本に住んでいて、他の国があることも知らなかったとします。
「外には大きな国があるんだよ。これからはそれも知っていかなければならない。」
って言われているのに「そうなのかなぁ~」って言っているのと同じなんです。
そのまま知ろうともしない人と、好奇心から調べたり聞いたり、そして実際に海外に行ってみた人との違いを考えてみてください。

人によっては世界を相手にスケールの大きな仕事を始める人もいるでしょう。
もちろん世界観を変えたうえで日本のいい所を再確認して自分の元いた場所で輝く人もいるでしょう。

そうなんです。経験して実感しない限りわからないんです。
ただ、最初の1歩を出すか出さないかの違い。「そうなのかなぁ~」で終わらせず是非経験して実感できるまで頑張ってみてください!





では、日本舞踊を始めてみて・・










所作が勉強できるって言うから来たのに、踊りばかりで所作の指導がない。舞踊家になるつもりないのに。





ここまでストレートに言う方はいませんが、話の端々で感じる事があります。
私はストレートに言いますよ( ;∀;)





この意見には2つの間違いがあります!!





冒頭に、海外のお話をしましたのでイメージしてください。

貴方は、これからアメリカ進出を目指します。
その為には、英語のスキルが必須です。学校を卒業してから英語の勉強をしてこなかったので慌てて先生の所に行きました。

そこでは、単語の勉強ばかり!
それを覚えるのにギリギリの状態にもかかわらず・・先生にこう言いました。





アメリカで通用するって言うから来たのに、単語ばかりで会話させてくれない。英語の先生になるつもりないのに。





お、お、恐ろしくないですか( ゚Д゚)









所作習得」=「英語ペラペラ」










和物の所作って、一言で説明できないんですよ。
「所作指導」というポジションでお声がかかるようになってからも自分の感覚も疑ってかかり再度勉強します。

英語で言うと、普段私はこう言っているけどこの時代のこの役の人が
本当にこんな言葉遣いをしていたんだろうか・・
ねぇ、ドツボにはまるでしょ('Д') 再度調べたくなりますよね。

そこまで奥深い「所作」を学ぶにあたりまずやることは

「基本を学ぶ」=「単語を覚える」これ以外ないんです。





所作指導の現場で感じる事は長くなりますので改めますが、この「基本がない方たち」に「所作指導お願いします」と言われることが多く・・。
結局「舞踊指導じゃん( ;∀;)」になってしまうんです。
ただ、必ず伝えてからにしています。

「今ここで舞踊指導してしまうと、お金を頂いて教えている弟子たちに申し訳ない。本来はこの仕事が決まる前、もしくは焦ったとしても決まったらすぐにでも日本舞踊を始めるべきだった。悪いけどこんな期間で習得できるものではありません。ただ、私も任された以上お客様の為にギリギリまで粘るので今の自分の最高点を目指してください。そして、今後も時代劇や着物を着る仕事を続けたいなら千秋楽後が貴方のスタートです」







和物の所作の基本は日本舞踊です。
だから日本舞踊をはじめた時点で「所作の勉強開始」なんですよね。

●準備
浴衣(稽古着)の着方を覚える=教科書を用意する

●最初
礼の仕方、立ち座り、歩き方=A・B・C~を覚える

●応用
基本を組み合わせたような曲から踊り始める=単語を覚えて少しづつ短い文章にしていく

●そして・・
ひたすら身体に、踊りを通して基本をベースにしたいろいろな役の動きを染み込ませます。
女踊りも、娘・芸者・傾城などいろんな役の踊りがあります。
男踊りも、若者・荒事の勇ましい役・三枚目などの踊りがあります。

友達との会話、目上の人との会話、恋人へのメッセージ、ギャグ!
シチュエーション別に使い分けられるように。





●ついに!
自然に、与えられた役に相応しい所作(動き)=会話ができるようになる





ここまでに費やす時間は人それぞれですが、一朝一夕にはいきません。





だから役が来てからでは遅いのです!!





↑↑これもいつも言っていますが。





これで、「所作を学べるって言うから来たのに踊りばかりで・・」が間違いだってわかりますよね。





いろんなジャンルの日本舞踊が踊れるようになった時に初めて自然に動けるようになるんです。もちろん衣装も着こなせますよね!

ここまで来てやっと、最低限の所作を習得したと言えるかもしれませんね。
だからひたすら踊りをお稽古するしかないんです。

きっと気が付くと思いますよ。着物を着る時もドキドキしないし、衣装さんにも「おっ、やってるんだね」って言われるし、心情を台詞なくても身体で表現できる。首の角度や、身体の向きや目線で。(これは、現代劇でも共通!)
立ち姿も変えられるし、出はけの姿も自由自在。
あ~、いい事だらけで書ききれません!(^^)!






舞踊家になるつもりはない










この言葉が出てくる意味はわかってるんです。

「そこまで本格的にやるのではなく、仕事(芝居)に活かせればいいので。舞台で踊る仕事があるわけじゃないし」





ってことですよね。簡単に言うと、ちょっとかじる程度で・・って感じですかね。

ここまで読んでいただけていれば、すでに間違いだって感じてもらえてると思いますが、あえて「舞踊家になるつもりはない」って言葉に反応させて頂きますね!
このホームページブログはかなり言葉を選んでいるんですが、「わかりやすく」もモットーにしているのでブラックで行きます(*‘ω‘ *)





「なれるもんならなってみろぉ~!なるつもりはない、じゃなくてなれないんだよ!そんなに簡単に舞踊家と名乗れるものじゃない!」





すみません。度胸がなくて小さく叫びました。

何度も言いますが、どういう理由でこの言葉を言っているのかは理解できます。
私も(踊りが好き!が一番のキッカケですが)舞踊家を目指していたわけではなく、芝居やショーの仕事に活かすために基本をきちっとやりたかった者なので。

でもね、本当に仕事に活かしたかったらそれこそ「舞踊家」になるつもりで習得しないと無理なんです。
かじっただけの技術でプロとして通用するほど甘い世界ではありませんよね。

私もあるショーの振付・出演の時に、ゲスト扱いにしてくれて初めて「舞踊家・麻倉ゆうき」と写真が載った時かなり焦りました。
と同時に身が引き締まりました。
私の場合、そういう現場や麻春会のメンバーが私を「舞踊家」に育ててくれたのだと感謝しています。
(宗家藤間流 藤間勘奈春として舞台に立つときは舞踊家として恥ずかしくないようにと思っている事はいうまでもありません)





まとめ!
役者が日本舞踊を始める時の心構え










「やっぱり、日本舞踊をやった方がいいな!」ってスタートラインに立てたなら、是非実感できるまで頑張ってください。

どの技術・芸事もそんなに簡単にできるものではないと言い聞かせ、長く続けるしかありません。そう!特技に「日本舞踊」と書ける日まで。
日本舞踊をやってます!から日本舞踊を踊れます!に変わるまでは諦めずに!
努力する時間は、必ず血となり肉になり誰にも取られません。

元々、音楽に合わせて身体を動かしたりすることが苦手な方もいますよね。
(麻春会にもいますよ( ;∀;)たまにリズムの稽古になったりもします)

気が進まないかもしれないし、始めても最初は苦痛かもしれません。
でもそれは、役者業をやるにあたりかなり致命的な事だと思いませんか?
今まで困った事がなかったとしても、これから先求められない保証はありませんよね。
洋舞と違って、いきなり頭まで足を上げて!なんてことはないし、個人稽古なので付いていけない・・って事もありませんので日本舞踊を通して克服しちゃいましょう!自信にもつながります。

私はたくさんの役者さんに日本舞踊を指導しているので、初回のお稽古で貴方の事が理解できます。
器用・不器用、向き・不向き、どの方向からお稽古していけばいいかもわかります。極端に言うと、どんな芝居をするかも想像できます。
そして可能な限り出演している舞台を観に行き、お稽古の方法を変える時もあります。だって表現方法が違うだけでやっているのは同じ人。芝居の幅を広げるためにも、足りない部分が埋められるように選曲したりしています。

前の話に戻りますが、「舞踊家になるつもりはない」以前に「舞踊家を育てようとしていない」なんです。

誰だって簡単と感じるまでは難しいの連続です。
自分の未来の為に、頑張るのは当たり前ですよね!
一緒に頑張りましょうね!!


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